昭和時代の最大のミステリーと言われているのが3億円事件です。
多くの物的証拠がありながら犯人を捕まえられることができずに迷宮入りとなってしまった事件です。
今から50年以上前の事件でありながら、未だに事件の謎を追って究明しようとする人が後を絶ちません。
筆者も事件当時は生まれていないにもかかわらず、この事件にのめり込み、真相を解明しようと日夜調査しています。
それでは、今まで3億円事件について調査した結果や考察をご紹介していきます。
注)こちらの記事は独自の考察ですのでご了承下さい。
目次
少年S(白バイ警察官の息子)は犯人ではない
今でも、最も犯人に近い男として少年S(白バイ警察官の息子)が取り上げられていますが、犯人とは無関係と見ています。
犯行を決意してから数年が掛かっていて、しかも運命の日の1968年12月10日の前に、8ヶ月間もの長きに渡り多摩農協と日本信託銀行に脅迫状を送り付けています。
その上、事件で使う見張り用のカローラや逃走用のカローラ、偽装白バイ用のヤマハスポーツ350R1など、かなりの数の車やバイクを盗難しているのです。
あまり知られていませんが、この他にも車とバイクを複数台盗難しています。
その他にもメガホンや備品なども盗難しているので、準備にかなりの時間を費やしているのが分かります。
犯罪を繰り返して鑑別所にいた少年Sには、そんな時間は無かったと見ています。
19歳ではどこかに綻びが出るはず
19年ほどの人生経験では、どこかに綻びが生じ、そこを足掛かりにしてボロが出て逮捕されているはずです。
結果的に完全犯罪を成し遂げた訳ですので、これほどパーフェクトに事が進められたのは、人生経験のなせる業です。
これもあまり知られていない事実ですが、事件で使用された発煙筒には、中の火薬が調合されていたといいます。
専門知識の無い19歳の少年に、このような細かな細工ができるでしょうか?
恐らく、学校もろくに通っていないと思われますし、この方には失礼ですが、ここまで高度な計画は、実行できなかったと見ています。
少年Sとゲ○ボーイが共犯という線
一説では、少年Sとゲ○ボーイの共犯ではないか?と見ている人もいます。
そうなれば、全てのつじつまが合うというのが、この説を唱えている人達の見方です。
ゲ○ボーイの役割
①多摩農協と日本信託銀行に脅迫状を送る
②多摩農協に脅迫電話をかける
③計画を練る
少年Sの役割
①車やバイクの窃盗
②事件の実行犯
お互いの特性を生かして実行が可能になります。
犯人が二人なら「つじつま」は合うが
この場合ですと、確かに少年Sが鑑別所にいた時にゲ○ボーイが脅迫状を出したというなら、つじつまが合います。
その点、26歳のゲ○ボーイが脅迫電話をかけたのであれば、一応の納得ができます。
しかし、警察も少年Sとかかわりがあった、こちらのゲ○ボーイを取り調べしていますので、もし共犯であれば白状しているはずです。
また、こちらのゲ○ボーイが計画を練った主犯格だとは到底思えません。
3億円事件の犯人像
犯人は、普通に考えても真っ当な人間でないことは明らかです。
通常人間は、平穏に暮らしていたいと願う生き物ですから、もし逮捕される事を考えると本人ばかりでなく、親兄弟、親戚にまで多大な迷惑がかかる事になります。
通常、頭の中で犯行を思い付いたとしても、頭の中の妄想だけで終わる方がほとんどです。
3億円以前の犯行も悪質
車やバイクを複数台盗難したり、メガホンなどの備品も盗難品です。
余程のアウトローでもない限り、周りにこれだけの事をする人はいないでしょうし、これらを盗難するだけでもかなりの重罪です。
その上、3億円を窃盗したのですから肝が据わっています。
筆者が考える3億円事件の犯人像とは?
独身の25歳~30歳ぐらいの男性。身長は170㎝以下で痩せ型。
間違いなく単独犯と見ています。
状況証拠から、かなりのギャンブル好きである事が分かっています。
そこのギャンブル場から間違いなく使われたとは限りませんが、この一連の動きを見ていますと、こちらのギャンブル場で使われた可能性が高いです。
ギャンブル好きという事は・・・
やはり借金を背負っていて、かなり切羽詰まっていた可能性が高いです。
この様な大胆な犯行に及んだのも、このような背景があったからこそといえます。
金に困って犯罪に手を染めるのは、いつの時代も変わりません。
3億円事件が単独犯説の理由
3億円事件を語る上で複数犯説か単独犯説の議論は絶えませんが、個人的には単独犯と見ています。
事件を発生当初から追っていた元警察官の方は、時系列的に一人での犯行では不可能と述べていましたが、一人でも十分に行えたはずです。
単独犯である一番の理由
何より一番の理由は、完全犯罪を成し遂げたことです。
今までの実績から見ても、複数犯である場合、ほとんどのケースで犯人は逮捕されています。
2人でもダメです。単独犯であるが故にバレなかったのです。
犯人が複数人いた場合、責任が分散され、そのうちの誰かが事件の内容を部外者に話し出し、そこから広まってしまい結局は捕まってしまうというのがオチです。
※人数が多ければ多いほどその確率は高まります。
その点、単独犯であった場合、本人だけが黙っていれば犯行がバレることはありません。
そのまま口をつぐみ、墓場まで持っていけばいいのです。
車の幌(ホロ)の謎
複数犯犯行説を唱える人で、第4現場(小金井市団地)で見つかったジュラルミンケースの入ったカローラに汚い幌が被せてあり、その幌の紐の結び方が2種類あったので、間違いなく犯人は複数犯であると結論付けています。
紐の結び方は人によって異なりますが、確かに結び方は1種類です。
人気のないところで短期間であれば、2種類紐の結び方があった場合、複数犯説も有力ですが、この件でいえば可能性が薄れます。
犯人は内部事情に詳しい
3億円事件を起こした犯人は、内部事情に詳しい人物です。
道路工事は事前の調査で知っていたとしても、輸送ルートを2種類使い分けていたというのは、○○の社員しか知り得ないはずです。
あの金をどうにか奪えないか?
当時は、普通の車に現金を乗せて銀行から会社までボーナスを運んでいました。
この事件では、男が4人乗車していたとはいえ、1人は運転手・残りの3人は普通の銀行員です。
犯人はこの事情に付け込み「あの金をどうにか奪えないか?」という考えが起点となって、そこから数年にかけて事件を計画したと考えられます。
決して「思いつきで行った犯行」ではありません。
3億円事件の当日の詳細
1968年12月10日の9時20分、土砂降りの雨の中、日本信託銀行から約3億円が入ったジェラルミンケース3個を日産セドリックに積み込んでいました。
その時にレインコートを着た不審な男が、物陰でその様子を見ているのが、複数の人に目撃されています。
車に現金を積み込むのを確認して先回りし、現金輸送車より先頭を盗難車で走りました。
※後続を走っていては間に合わない為
近道にそれ、エンジンをかけっぱなしにしてあったニセの白バイに乗り込み、現金輸送車を追い抜き停車させます。
目撃者の話ですと、雨の降りしきる状態で、片手でピシッと合図を送り現金輸送車を止めた様子は、とても素人ではないと感じたそうです。
府中刑務所の監視塔にいた職員は、上からその事件の一部始終を見ており、かなりの恐怖だったと証言しています。
犯行はわずか数分の出来事
発煙筒をダイナマイトに見せかけ、まんまと現金輸送車を乗り逃げした犯人。
雨の中で発煙筒を使用すると、煙が拡散し辺り一面視界が悪くなります。
犯人にとっては、この日の雨も味方に付けたといえます。
惜しい出来事が!
現金輸送車を乗り逃げした犯人は、猛スピードで逃走用のカローラが置いてある国分寺史跡に向かいます。
この時に、対向車とぶつかりそうになり別の道に逃げていきました。
ここで少しでも車と接触していれば、歴史が変わったかもしれません。
犯人は何処へ
現金輸送車のセドリックからカローラに乗り換え、その後、小金井市の団地の駐車場でまた別の車に乗り換えて姿をくらました犯人。
今となってはお見事というしかありません。
3億円事件のあと社会に様々な変化をもたらした
3億円事件は、社会に多大なる影響を及ぼしました。
①給料は現金手渡しから銀行振り込みへ
②現金輸送車はよりセキュリティーの高い車へ
③現金の輸送には専門の訓練を受けた警備員を配置
ここまで強化された事により、強盗事件というのはかなり減りました。
現代でも3億円事件というのが良い教訓となって生かされているのです。
当時の3億円の価値
こちらは諸説あり一概には言えません。
今までの調べですと、当時の3億円の価値というのは
8億円~700億円
人の考え方によってこれほどまでの開きがあります。
当時の物価と現在の物価は比較しにくいので、様々な見方があるのではないでしょうか。
総合的に判断すると15億円~20億円ではないかと思われます。
その為、3億円事件以降、現金強奪事件は起きていますが、未だに「3億円事件」が日本犯罪史上最も高額な現金強奪事件として歴史に名を刻んでいるのです。
3億円事件で一番の被害者は誰か?
3億円事件の被害者は保険契約をしていた外国の保険会社です。
日本信託銀行は、1万6千500円の掛け捨て保険を掛けていたので、奪われたお金は保険で賄われました。
翌日、パトカーが何台も護衛に付き、ボーナスは無事に東芝の元に届けられました。
これにより、日本で被害を被った人はいないという結末です。
実質、保険料が値上がりしたので、全く被害が無かったとは言い切れません。
警察の陰謀・犯行説
3億円事件は警察の陰謀ではないか?と推理しているジャーナリストは多いです。
取り調べと称して学生たちが多く住んでいた、東京の中央線沿線付近をローラー作戦で片っ端から取り調べ、かなりの過激派組織を摘発出来たというものである。
現金輸送車をピシッと止められたのも、本職の警察官だからこそ止められたと唱えている人もいます。
警察犯行説は矛盾だらけ
もし警察の陰謀だとしたら、事件で使われた盗難車は警察が盗んだのでしょうか?
結果的に盗難された3億円の3倍以上にあたる約10億円が、捜査費用として露と消えています。
警察官の過労による死者も2名出していて、もし警察の自作自演の作り話だとしたら、ここまでやるでしょうか?
学生運動の件は、3億円事件とは無関係ではありますが、ローラー作戦に活用出来たというのが正しいのかもしれません。
自称3億円事件の犯人
事件後、何人かが3億円事件の犯人として名乗りを上げました。
すでに時効は成立しているので、今となっては逮捕されることはありません。
また、自称3億円事件の犯人と名乗る人が、手記を出版し話題となっております。
もし本当の犯人なのであれば、堂々と世間に出るなり各メディアに顔出しで出るべきではないでしょうか。
そうすれば、今後の防犯の参考になるし、何より日本の警察から逃げ切ったある意味ヒーローなのだから今となっては賞賛すべきである。
是非とも犯行時のお話しをお聞きしたいものである。
まとめ
ここまで、自分なりの意見をまとめてみました。
私は10年間に渡り、3億円事件を追い続けてきましたし、これからもこの事件が解決するまで追い続けます。
この事件の面白いところは、調べれば調べるほど深みにはまり、正解が見えなくなるところです。
この事件は、一生解決しない事件だからこそ、50年以上経った今でさえ、その議論が絶えない迷宮の闇なのかもしれません。
犯人は、もうこの世にいないかもしれません。生きていたとしても、墓場まで持っていくでしょう。
数々の映画やドラマの題材にもなった「3億円事件」は、これからも語り継がれていきます。